Overview
2005年5月、GE (www.ge.com) は「エコマジネーション」への取組みを発表している。これは、顧客が直面している環境に関する重要な課題の解決をサポートすることにより、新規ビジネスの開拓を目指す世界的な取組みである。
GEによるエコマジネーションの目的は、世界的な環境対策を推し進めるため、同社の材料、エネルギー、テクノロジー、製造、インフラ整備などの独自ノウハウを強化し、軽量かつ強固な素材、燃料電池、太陽光エネルギー、ハイブリッド機関車、航空機エンジンの低排出ガス化、水浄化技術など、将来に向けたソリューションを開発することである。
エコマジネーションを通じ、GEでは環境にやさしい技術の研究投資額を、2004年の7億ドルから、2010年には15億ドルへと2倍超に引き上げる意向である。これらの研究開発により、GE社は様々なクリーンテクノロジーの開発を期待しており、エコマジネーション関連製品の投入により、2004年の収益100億ドルを、2010年迄には年間200億ドルへと倍増させる計画である。
GEのエコマジネーションには、同社が排出する地球温暖化ガスを2012年迄に1%削減、2008年迄に同排出ガス濃度を最大30%削減する計画が含まれる。
GEプラスチックス (www.geplastics.com)は、70億ドルの売上規模を持つGEの事業部門の一つであり、本社を米国マサチューセッツ州ピッツフィールドに置き、自動車、医療、家電、輸送、高機能包装、建築/建設、通信、光学媒体などの幅広い産業分野に対して高機能プラスチックス材料、シート、フィルムを提供するグローバルサプライヤである。
GEの全社的な取組みであるエコマジネーションの一環として、GEプラスチックスは、リサイクル性に関する世界基準に適合した、環境にやさしいエンジニアリング・プラスチックスの開発を主導している。これら製品の多くは、ハロゲンフリー部品や環境有害物質の低減、低排出ガス化、水資源の保護、エネルギー効率の向上といった市場の要求にも適合する。
GEプラスチックスの自動車部門は米国ミシガン州サウスフィールドに本拠を置き、世界の自動車産業に対し、いくつもの新たなエコマジネーション関連製品を投入することで、GEの環境分野におけるリーダーシップの確立に貢献している。これらには、Flexible Noryl*(フレキシブル・ノリル)、Lexan* SLX(レキサン・エスエルエックス)、Valox iQ*(バロックス・アイキュー)、Xenoy iQ*(ゼノイ・アイキュー)といった樹脂製品が含まれる。
GEのValox iQおよびXenoy iQ樹脂
新しいValox iQおよびXenoy iQ樹脂は、顧客が直面している環境に関する重要な課題の解決をサポートするため、GEが推進するエコマジネーションの一環として開発された環境に優しい樹脂製品群の中でも、きわめて重要な製品である。
GEプラスチックでは、いかに従来の材料よりもクリーンで環境にやさしい製品の製造が可能かを検討するため、自社製造工程で検証を実施した。これらの新しい樹脂製品は、2年に渡るエコマジネーションの成果である。
Valox iQおよびXenoy iQ樹脂は、原材料の85%に使用済み製品廃棄物(Post-Consumer Waste: PCW)から再生されたPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を用いた製品である。これらの製品は、既存材料と比べ、製造工程におけるエネルギー消費が少なく、CO2の排出量を低減できる。これにより、材料1kg当たり、少なくとも1.7kgのCO2排出を削減できると共に、材料1トン当たり、8.5バレル(1,351リットル)の原油を節約できる。
これらの新製品は、コネクター、自動車ランプのベゼル、衝撃吸収部品、外板部品といった要求の厳しい自動車分野におけるアプリケーションに最適であり、CO2排出や使用済み製品廃棄物および石油消費量の大幅な削減、車体重量の軽減による高い燃費効率、優れた耐薬品、耐熱、耐衝撃特性の実現、高いデザイン性の実現、部品のモジュール化といった優位性を提供する。
仮に、すべてのPBTがValox iQとXenoy iQに置き換わった場合、これまで廃棄されていた年間56万2千トン以上のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂が再生材として利用可能となる。この数量は、225億本の500ミリリットルPETボトルに相当し、ボトルをつなげると地球を120周することができる。
自動車のアプリケーションに加え、これらの新製品は、家電や輸送分野のアプリケーションにも最適である。
GEのFlexible Noryl樹脂
GEのエコマジネーションを通じて、新しいFlexible Noryl樹脂が開発され、最初に自動車用ワイヤ/ケーブル向け薄肉厚の被覆材として利用されている。
Flexible Noryl樹脂は、世界の自動車産業が求める薄肉厚で高機能な電線被覆の要件だけでなく、ハロゲンフリーに関する要求も満たしている。
Flexible Noryl樹脂は、ポリエチレン(XLPE)などの従来からある被覆材と異なり、リサイクル性に関する世界基準に適合しており、この樹脂を用いた製品は、欧州およびアジア地域における使用後のリサイクルや回収などの要求事項に適応する。
GEのFlexible Noryl樹脂を用いた薄肉厚の被覆材は、ケーブル重量を25%軽減可能であり、これにより燃費効率の向上が期待できる。また、より細いケーブルの製造が可能となることで、これまでと同じ車内空間に、より多くの電装品を搭載することができる。
GEのLexan SLX樹脂
自動車の塗装工程における揮発性有機化合物(VOC)の排出は、大気に悪影響を及ぼす。エコマジネーションの一環として、GEプラスチックスは、従来の塗装に起因するVOC排出の低減化を図るため、塗装不要のLexan SLX樹脂を開発した。
Lexan SLX樹脂は、優れた光沢と深みのある色、高い耐傷つき性および耐薬品性、卓越した耐候性を発揮することから、自動車の外板パネルに使用されている。Lexan SLX樹脂は、樹脂に顔料を配合することで、自動車製造工程における塗料消費の大幅低減に貢献する。
Lexan SLX樹脂は、スチレン、溶剤、アルコールや揮発性有機物などを使用する製造工程から、より環境への影響が少ない製造工程へ移行する機会を顧客に提供することで、下塗りや塗装が必要とされていた自動車外板パネル用途における優れた代替材料となる。
塗料が配合された革新的なLexan SLX樹脂を使用することで、塗装レスによる生産性の向上に貢献すると共に、ガス排出に関連する費用負担が抑えられ、従来よりも優れた製品が供給できる。
* ecomagination、Noryl、Lexan、Valox、Valox iQ、Xenoy、Xenoy iQはGeneral Electric Companyの商標です。
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